【旭山動物園だより】なぜ北海道にいないの?「ニホンザル」|地球にやさしい子ども達を育む環境教育メディア  
北海道
動物園だより
2022.04.11

【旭山動物園だより】なぜ北海道にいないの?「ニホンザル」

目次 [非表示]

旭山動物園の獣医師・池谷優子さんが、動物や動物園、自然について紹介するコーナーです。

ニホンザル

霊長目/オナガザル科
【生息地】 下北半島から屋久島まで

旭山動物園ではオス32頭、メス45頭を飼育しています。

なぜ北海道にいないの?

旭山動物園では、8種類のサルの仲間を飼育しています。今回は、その中からみなさんにとって最もなじみがあるニホンザルに注目してみます。ニホンザルの野生生息地は北海道を除くほぼ日本全域です。ニホンザルは日本にしか生息していない日本固有種で、実は世界でここにしかいない動物の1つなのです。サル類の多くは暖かい地方に生息していますが、ニホンザルの生息地の北限は本州の最北端である青森県下北半島。これは人を除くサル類の生息域で最も北で、寒さに適応したサルともいえます。

それでは、なぜ北海道にはいないのでしょう。特に道南なら気候的には大丈夫だと思いませんか。実は、サルたちは津軽海峡という海をこえられなかったのです。この津軽海峡には地域を生物学的に見たときにブラキストン線といわれる境界線が引かれます。ここを境に生息、生育している生物の種類が変わる線です。ニホンザルは日本列島に広がって青森まで来たけれど、この海をこえることができなかったため北海道にはいないのです。

みんなでぬくぬくサル団子

旭山動物園での過ごし方

では、旭山のニホンザルの冬生活はどうでしょうか。ここは北海道でも寒い地域ですが、彼らも最も北にすむサルの一員、モリモリ食べて密な冬毛とサル団子で冬を乗りこえています。ただ、寒すぎる日は暖かな室内へ出入りして、自然界よりはおそらく快適な冬を過ごしています。

最後にサルと日本人との関係について。北海道のシカなどと同じように、日本の各地でニホンザルが作物をあらす農業被害が発生しています。また、えさやりなどで人をおそれなくなった群れが家の中に入ってあらす、女性や子どもをおそうといったことも起こっています。生物の多様性が重要といわれる現在、人と野生動物の関係をどうつくっていくかが大きな課題です。

冬も外でひなたぼっこ

あさひやまニュース

ホッキョクグマの赤ちゃんが誕生!

ホッキョクグマのピリカ(メス)とホクト(オス)の間に子どもが生まれました。現在すくすく成長中。旭山でホッキョクグマの仔が順調に生育しているのは、実に40年ぶり!ぜひ今年はホッキョクグマの母子を観察しに来てください。

教えて! 飼育員さん

飼育員さんが、みんなからの質問に答えるよ!

質問

動物のお世話をしていてこわいと思うことはないのですか?

答え

あります。トラやライオンに目の前で本気でほえられたときなど、おそわれないと分かっていてもすごい恐怖を感じます。またオランウータンなどは力が強いので普通に指でつままれるだけでもケガをします。なので、相手の手の動きには常に気を付けています。


協力・監修:旭川市 旭山動物園

旭川市 旭山動物園
旭川市東旭川町倉沼
TEL. 0166-36-1104
http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/

この記事を書いた人WRITER
エコチル編集部

エコチルは、地球環境保全に取り組む子ども達を育むとともに、学校や家庭でのエコライフ推進を目的としたメディアです。

この記事の関連ワードKEYWORD
おすすめの関連記事RECOMMEND
人気の記事RECOMMEND
1
2
3