札幌市の市民参加型J-クレジットで、エコチル発行で排出するCO₂を実質ゼロに!|地球にやさしい子ども達を育む環境教育メディア  
北海道
開催報告
2022.03.07

札幌市の市民参加型J-クレジットで、エコチル発行で排出するCO₂を実質ゼロに!

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札幌市が初めて販売するJクレジットを株式会社アドバコムが購入しました。これにより、エコチルを発行するうえで発生するCO₂をうめ合わせしていきます。

1月24日(月)に、「J-クレジット証明書授与式」が行われ、その後、札幌市環境局環境都市推進部の菅原祐雄部長と、株式会社アドバコム代表取締役の臼井純信・エコチル編集長が対談しました。

その様子をご紹介します。

※ 新型コロナウイルスの感染拡大リスクに十分配慮のうえ取材を行いました

子ども環境情報紙「エコチル」と「エコチルゼロカーボンプロジェクト」について

臼井編集長:「エコチル」は、エコな子どもたちを育み、学校や家庭にエコライフが浸透していくことを目的に、毎月小学校を通じて各家庭に無料配布している「子ども環境教育情報紙」です。2006年に札幌市で創刊し、現在では北海道全域、東京や横浜、長野にも拡大しています。また、札幌市内は市立の中学・高等学校でも配布しています。「エコチル ゼローカーボンプロジェクト」は、そのエコチルを発行する過程でどうしても排出されてしまうCO₂を実質ゼロにすることで、持続可能な社会の実現に寄与することを目指した取り組みで、昨年11月に北海道版から試験的に開始しています。

札幌市が行っているJ-クレジットとは?

菅原部長:私たちは生活するうえでCO₂を出しています。企業においても同様にCO₂を出しています。どんなに努力してもCO₂が出てしまいますが、他の場所でCO₂を減らすことで、「ゼロにする」引き算を行うことができます。これをカーボンオフセットといいます。

J-クレジットとは、このカーボンオフセットをするために必要な減らした量を決めてくれる国の制度で、減らす方法としては森林のCO₂吸収や再生可能エネルギーが生み出した電気によるものなどがあります。札幌市では、市民向けに太陽光発電設備などの再エネ・省エネ機器の導入にかかる費用の一部を補助しています。

この補助金を受けた人たちが、札幌市エコエネクラブというグループに参加することで、家庭で太陽光発電や水素によってエネルギーを生み出す家庭用燃料電池(エネファーム)によってCO₂を減らした量を、札幌市が集めてJ-クレジット制度事務局へ届け出し、市内の企業などへ販売しています。

また、販売で得た利益は、札幌市内の環境保全活動などに活用する予定です。

カーボンオフセットを販売している企業が多数ある中、札幌市のJ-クレジットの購入を決めた理由とは

臼井編集長:エコチルは、行政や企業・団体などと連携しながら、有意義な環境教育情報を子どもたちに毎月無料でお届けする活動に15年以上継続して取り組んでいます。今年度、創刊15周年を機に環境意識の変化等に関する大規模な読者アンケート調査を実施した結果、エコチルを毎月読むことで85.6%の保護者、69.1%のお子様が環境意識に良い変化があったと回答してくれました。

一方で、そのような効果を上げている反面、情報紙を1人でも多くの子どもたちに届けようとすると印刷や配送の過程でCO₂排出量が増えてしまうという課題を抱えていたことから、カーボンオフセットでその課題を解決しようと考えました。

また、せっかくオフセットするなら、エコチル読者などの家庭を巻き込んだ市民参加型のカーボンニュートラルを実現できないかと考えていたところ、札幌市のJ-クレジット制度※の存在を知り、まさに理想的なクレジットだと思い購入を決めました。

札幌市のJ-クレジット制度

今後の札幌市のJ-クレジットの展開

菅原部長:今後も市民向けに太陽光発電などのCO₂を減らすための機械を家庭に設置する場合には補助を行っていきますので、みなさんが生み出すCO₂を減らした量もどんどん増えていくと思います。

札幌市としては、引き続きこのCO₂を減らした価値を販売し、これにより得た利益は、札幌市内の環境保全活動などに広く活用していきたいと思います。

地球温暖化を防ぐために、エコチルが行っていきたいこと

臼井編集長:これからもエコな子どもたちを育み、学校や家庭にエコライフが当たり前のように根付いていく社会を実現するために、行政や企業等と連携しながらエコチルの発行やイベント開催等に取り組んでいきたいと思っています。

また、昨今は「SDGs」に対する興味や関心が急速に高まっており、そこに向けて何か取り組まなければ感じている人たちも多いと思いますので、そのような背景も活かしながら、エコチルの活動の輪を広げていければと考えています。

具体的には、地球環境問題は一地域だけで解決できるものではないので、できるだけ多くの地域にこの活動を広げていく必要があると考えており、それを具現化するために全国20の政令指定都市で各自治体と連携したエコチル事業を展開する計画です。すでに4月から静岡市と大阪市でエコチルの創刊が決まっており、月間発行部数100万部突破も視野に入りました。

今後の札幌市の地球温暖化対策について

菅原部長:札幌市では、2050年にゼロカーボン都市を目指しています。これはとても高い目標のため、途中の2030年では、2016年と比べて55%もCO₂を減らすという目標を立てています。

この目標の達成には、札幌市としての特徴を考えて、効果的な取組を進めていくことが必要と考えています。

具体的には、省エネを進めることで、冬がとても寒い札幌市では、ストーブなどの暖房によるエネルギーの消費が大きいことから、住宅やオフィスビルを建てる際に、壁や窓の断熱性能を向上させて、熱を外にもらさないような工夫をしてエネルギーの消費を少なくして、できるだけゼロにしようと考えています。

また、太陽光発電などによって生まれる再生可能エネルギーの利用を増やすために、家庭や市の施設などへの太陽光発電設備の設置を進めていく他に、風力発電など札幌市以外の道内の市町村で作られる再生可能エネルギーを札幌市内で使っていくため、再生可能エネルギー電力への切りかえをしてもらうような取り組みを進めていきたいと思います。

読者の小学生の子どもたちへのメッセージ

臼井編集長:私たちが暮らしている札幌市でも、夏に30度を超える猛暑日が連日続く、経験したことのないような豪雨や台風に見舞われる、冬はサラサラの雪ではなくベタベタに水分を含んだ雪が多く降り、降雪量も年々減少する等、日常でその影響を実感できるまでになっています。

そのような中、世界の国々や各地域で脱炭素社会を実現する為、さまざまなCO₂削減努力が行われています。みなさんも、普段の生活の中でCO₂削減に貢献できることがきっとあると思いますので、ぜひエコチルなどをヒントにして、できることからすぐに取り組んでください。

菅原部長:みなさんがCO₂を減らす努力をしてくれると、札幌市もそうですが、地球環境を守る行動につながっていきます。これからもいっしょにCO₂を出さない、安心して暮らせるゼロカーボン都市「環境首都SAPP‿   RO」を目指していきましょう。

この記事を書いた人WRITER
エコチル編集部

エコチルは、地球環境保全に取り組む子ども達を育むとともに、学校や家庭でのエコライフ推進を目的としたメディアです。

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