【葛西臨海水族園だより】深海生物を育てて展示する「サケビクニン」|地球にやさしい子ども達を育む環境教育メディア  
東京
動物園だより
2022.02.07

【葛西臨海水族園だより】深海生物を育てて展示する「サケビクニン」

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今月のどうぶつ:サケビクニン

学名:Careproctus rastrinus species complex
分類:カサゴ目 クサウオ科
生息地:東北地方太平洋沿岸からオホーツク海、および日本海

「深海の生物2」水槽の生き物たち

イバラモエビ

 

ジャイアントアイソポッド(ダイオウグソクムシ)

 

不思議な姿かたち

葛西臨海水族園では開園当初から深海生物の飼育・展示を行っています。サケビクニンも深海生物として知られ、うすいピンク色のぶよぶよとしたゼラチン質の体が特徴です。丸い頭を下にして水槽内を泳ぐ姿は、まるで深海をただよう人魂のように見えます。

薄暗い水槽の中を泳ぐサケビクニン

深海生物を育てて展示する

現在、展示しているサケビクニンは我々飼育係が卵から育てたものです。サケビクニンの卵は直径0・5㎝ほどの真珠のような卵で、水槽内ではこの卵がいくつも固まった「卵塊」という状態で発見されました。卵がふ化するまでに、水温3℃の水槽で半年以上もかかります。

卵からふ化したばかりのサケビクニンの仔魚は全長約1・5㎝の半透明なオタマジャクシのような姿をしており、吸盤状に変化した腹びれを使ってかべにくっつきます。仔魚にえさとして動物プランクトンをあたえますが、成長するにしたがい、口の大きさに合わせてゴカイやサクラエビのミンチなどをあたえます。

最近ではより良い成長とより多くのサケビクニンの育成を目指し、栄養バランスを整えて人工的に作られたえさを使い始めました。そのおかげで、産まれたサケビクニンの半数以上を育てられるようになりました。育てたサケビクニンも大きくなってきており、そろそろ産卵しないかと期待しています。

育成中のサケビクニン

かさいニュース

のぞいてみよう深海の世界

海の表面と深海の水温差が小さくなる冬は、深海生物採集のベストシーズン! 葛西臨海水族園で展示している深海生物の多くは、スタッフが漁船に乗ったり、つりをしたりして採集したものです。深海生物の観察にぴったりなこの時期に、魅力たっぷりの深海の世界をいっしょにのぞいてみませんか? きっと新しい発見があるはず!

>>> 水族園公式YouTubeチャンネルはこちら


写真提供:公益財団法人東京動物園協会

東京都葛西臨海水族園
東京都江戸川区臨海町6-2-3
TEL.03-3869-5152
https://www.tokyo-zoo.net/zoo/kasai/

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エコチル編集部

エコチルは、地球環境保全に取り組む子ども達を育むとともに、学校や家庭でのエコライフ推進を目的としたメディアです。

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