【新潟市水族館マリンピア日本海だより】二枚貝に産卵 絶滅危惧種の「キタノアカヒレタビラ」|地球にやさしい子ども達を育む環境教育メディア  
新潟
動物園だより
2022.03.14

【新潟市水族館マリンピア日本海だより】二枚貝に産卵 絶滅危惧種の「キタノアカヒレタビラ」

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キタノアカヒレタビラ

学名:Acheilognathus tabira tohokuensis
コイ目 コイ科
生息地:東北地方日本海側の河川や沼、池

ヒレが赤くなっているのがオス。お腹から長い管が出ているのがメス。

次の世代を育てるために

東北地方のおだやかな川や池などにいるキタノアカヒレタビラのオスは、春に体の色が変わります。春は、次の世代を産み育てる繁殖の季節。繁殖期に入ったオスは、銀色の体に青い線が入り、背ビレとしりビレが赤くなります。きれいな色の体でオスがメスをさそいます。

繁殖期になると、メスのお腹から長い産卵管が出てきます。それを使って、イシガイやマツカサガイなどの二枚貝の中に卵を産み付けることで、卵を二枚貝に守ってもらうことができます。1カ月後に、母貝から8㎜ぐらいの稚魚が出てきます。1年で約10㎝の成魚に成長します。マリンピア日本海では、人工繁殖で育てた個体も展示しています。


キタノアカヒレタビラの稚魚

敵はたくさん

このように、稚魚になるまで母貝の中で育つキタノアカヒレタビラですが、自然界で減っているため、絶滅危惧種になっています。減少の理由の1つは、人による開発です。開発によって、キタノアカヒレタビラだけではなく、産卵に使う二枚貝の生息地も破壊されます。または、ブルーギルなどの肉食外来種に食べられることや、他のタナゴ類との競争も減少の原因とされています。

他のタナゴ類も産卵に二枚貝を使うので、早く産み付けた方が数を増やします。ヤリタナゴなどの在来種と長く共存してきましたが、近年、外来種が増えてきています。本来は中国や韓国にいるタイリクバラタナゴが日本各地で増えてきて、在来種の生息環境をおびやかしているそうです。鑑賞する魚として人気のタナゴ類ですが、この先も自然界で見られるといいですね。


外来種のタイリクバラタナゴ

 

マリンピアニュース

「新潟のタナゴ」企画展示へようこそ

二枚貝の中に卵を産み付けるタナゴ類は、世界中の川や池などに約40種類が生息しています。その内、新潟県で見られるキタノアカヒレタビラ、ヤリタナゴ、カネヒラ、ゼニタナゴ、そして外来種のタイリクバラタナゴを企画展示室で展示します。タナゴ類の産卵や在来種の減少についての紹介も必見。期間は3月18日(金)から6月12日(日)までです。


写真提供:新潟市水族館マリンピア日本海

新潟市水族館マリンピア日本海
〒951-8555 新潟市中央区西船見町5932-445
TEL 025-222-7500
https://www.marinepia.or.jp/

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